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ジャスティス砂漠・・その辺境を転がる空っぽの樽から聞こえる怪しげな・・・・
2025/04
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 樽はソルも学者だし、ジャスティスも同僚だったというんだから、そりゃ頭が良かったんだろうぜ!と思っています。 ソルはラボ持っているらしいから、きっと自分がやってた分野とか法力に関しての蔵書があって、ちゃんと勉強してただろうと思うよ。


 というわけで、うちのジャスティスさんが読んでいる本の出所。

「ねぇねぇ。ジャスティスがいつも読んでいる難しい本ってジャスティスのなの?」
 いつもの場所で、いつものように。 いかつい装丁の本にはアルファベットで題名が書かれいているが、ヴィーは知らない単語の為、読めたところで意味が判らない・・・もちろん中身も同様である。
「これは借り物だ」
 そういって読んでいた場所に栞を挿し、本を閉じたジャスティスは表紙を見ながら短く答えた。 その答えにヴィーは首を傾げ、
「誰に借りたの?」
「知人に」
 また短いジャスティスの返答。 ヴィーは少し不満げに眉を寄せて唇を尖らせ、
「本を貸してくれるような知人がいるなんて・・・俺知らなかったなぁ」
「お前が私について知っていることなんて、ごく僅かだろう」
「そうだけどぉ!」
「私が本を読んでいる時に話しかけてくるとは珍しいな・・・・何が目的だ?」
「俺もそういう難しい本を読めるようになるかな?って思って」
「今のお前では無理だ、もっとテスタメントに基礎から教えてもらえ」
「ってことはそれって法力関係なの?うぇー。あれって頭が痒くなるんだよね」
 そういって頭巾越しに爪をたて、ガリガリと引っ掻くヴィーに、ジャスティスはその手を掴んで止めさせた。 すぐに頭巾に薄っすらと血が滲み、額から鼻へと血が伝う。
「力加減をしろ」
「ごめんなさーい」
 ペコリと頭を下げたヴィーに、テスタメントに診てもらえ・とジャスティスはクリフの部屋へと送り出した。 バイバイ・と手を振るヴィーに、ジャスティスは乱暴に一度だけ手を振ると、すぐに自分の部屋に戻る。
 読み途中だった本を開いたジャスティスは、幾らか進まぬうちに挟めれていたメモに気付いて、そのメモを摘み上げた。
「・・・・流石に字が擦れて・・・・もう読めないが、あの頃のものなのだよな?」
 ジャスティスは挟んでいた箇所を素早く読むと、元の場所に戻して読み続けた。


 アパートの前。 ギュと深い皺を刻ませて、ヴィーは目の前の二人を睨んでいた・・・正しくはそのうちの一人なのだが。
「・・・・」
 睨まれているのに気付いたようだが、相変わらずな仏頂面を変えることはせず、傍に立っている相手の話に耳を傾けていた。
「次はこれが良い」
「・・・・それはない」
「・・・だったらE国の博士の・・なんといったか・・」
「・・・判った、それならあったと思うから探しとく」
 別に内緒話というわけではないが、ヴィーにとってはちんぷんかんぷんなことを話している二人に、ヴィーはそれはつまらなそうだった。 それを知ってか知らずか、ジャスティスは淡々とした調子で、ソルにあれやこれやと何かを頼んでいる様子で、最後に、
「これは返す。一度昔に読んだものだったが、なかなか楽しめて良い時間潰しになった」
「そうか」
 あのいかつい装丁の本を数冊、どさりとソルに手渡すジャスティス。 それに、ヴィーの目が驚きで見開かれる。
「そのおっさんッ・・・に借りてたの?」
「そうだが?」
 本を投げようとしたソルを、その本は貴重で壊れやすい・と止めながら、頷くジャスティス。
「そのおっさんって本読むの?」
「本くらい読むだろう」
 何をいっている?というジャスティスに、ヴィーはえぇー・と不満げな声を上げた。 どう見たって脳筋で、本を読むような人間には見えないのだが。 しかもジャスティスが読んでいるのは学術書のような類だったり、誰彼の論文であったり。 とてもじゃないがソルが読むようなものとは思えない。
 ヴィーの失礼なリアクションに、もちろん腹を立てたソルだったが、つまらなそうに鼻を一つ鳴らすだけで我慢した。
「じゃ・・・・また思い出して時間があったら、持って来る」
「すまんな」
 本を脇に抱えて代えるソルの背に、べッと舌を出して見送るヴィー。 その額を小突いて諌めるジャスティスに、ヴィーはちぇ・と呟いた。
「あれの持つ古い蔵書のいくつかは、もう手に入らないものだ。が、今の法力の根幹であったりとなかなかに興味深い。暇つぶしの読み物には最適だからな」
「ふーん」
「絵本のお前にはまだ早い、もう少し学んでから興味を持て」
 そういうとジャスティスはアパートの部屋に戻っていった。 その背を見送りながら、
「別にはぶられたから機嫌悪いんじゃないぞー」
 と、唇を尖らせながら、ヴィーは呻いた。


「きさ・・・ま・・・これは・・なんのつもりだ?」
「あ?・・・・!いや・・たまたま挟まってただけでだな」
「ほう?」
「大体これとこれの間だぞ?あったっておかしくないだろ、関連はあるわけだから」
「こんなものを取ってある必要はないだろう」
「・・・この分野では残っている数少ない奴を、無碍に捨てられるか」
「・・・・今ならもっと新しいものが発表されているだろうが・・・自分のはとっているのか?」
「そんなもの俺には必要ないから、ねぇ」
「これも捨てろ!!」
 そう叫びながらも、ジャスティスはその冊子を破ったりしないでソルの顔に叩きつけた。


 出て来たのはなーんだ? 珍しくジャスティスとソルが仲が良い・・・・本当に珍しい。

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