ジャスティス砂漠・・その辺境を転がる空っぽの樽から聞こえる怪しげな・・・・
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忘れないように。
朝食時、ジャスティスはいつも通り新聞を読んでいたのだが、部屋に流れる空気が微妙に普段と違うことを感じていた。 どう違う・と明確にはいえないのだが。
老人らしく朝早く起きるクリフが、朝食前の運動といって斬竜刀を担ぎ出し、実戦形式の手合わせにとヴィーを誘いに来るのも別段珍しくはない。 今朝のヴィーは機嫌よく起きて付き合い、窓から飛び降りてはしゃいでいた。 そこにこの原因はないように思う。
ジャスティスは新聞に目を走らせることは止めぬまま、時折空気の根源に目を向けた。 台所に立つテスタメントとすでに席に着いているクリフである。 いつもと変わらぬ手際で朝食の準備をしているが、その背中からは何かが滲む。 クリフはクリフで、腕を組んで目を瞑り、押し黙っている。
「まだ読み終わらんのか?」
「・・・珍しいな」
「そうかの?」
ジャスティスが読み終わってから朝食を終えた後、自室に持ち帰って読むのが普段のクリフの行動である。 この空気と沈黙に耐えかねてでた言葉だろうが、ジャスティスは冷めた声で切り返すと、むぅ・と小さく唸ってまた黙ってしまった。
ちなみにヴィーは朝食の食器を用意したり、出来た料理を運んだりとテスタメントを手伝っているが、それもいつも通りではある。
「お待たせしました」
そういってテスタメントが味噌汁を運んでくると、どうぞ・と丁寧にクリフの前におくのは、いつも通り。 熱いから気をつけろ・とヴィーに声をかけるのも変わらないが、
「父上、どうぞ」
どん!とクリフの前におかれた茶碗には、盛られた飯にこれまたどん!と箸が突き立てられていた。 それを見たジャスティスは微かに咳き込み、手にしていた新聞がクシャリを音を立てる。 クリフの眉間に深い皺が刻まれ、こめかみ辺りが引くついているのが見える。
「何それー?じいちゃんだけなの?俺も刺すー」
意味を知らぬヴィーははしゃいで自分の箸を自分の茶碗に突き刺し、わーいと喜ぶ。 クリフは箸を抜くと、何もなかったように黙々と食事を始めた。
「・・・・何かあったのか?」
関わりたくはなかったのだが、テスタメントのらしからぬ行動に、ジャスティスは嫌々訊ねた。 最初は何でもありません・といったテスタメントだったが、見かねたヴィーが口を開こうとすると、テスタメントはそれを制し、
「今朝此処に来た時、父上とヴィーが・・・」
「わしは悪くない」
「私とて悪くなどありません、あれは父上の身を案じての一言!それをそのような態度で・・・お分かりにならないほど頭が固いのですか?」
「固ッ・・・!」
「黙れクリフ・・・テスタメントは話を続けろ」
「手合わせをしていたのを見かけまして・・・・時折そういうことをしていたのは知っていますが」
「テスタメントがね、俺にあんまり本気を出すな・っていったの」
「父上は老体です、案じればの言葉です!」
クリフに無茶をするな・ではなく、あえて相手のヴィーへそういったことがクリフの癇に障ったらしいが、それは判らなくもない。 さりとて、どうでも良いジャスティスはくだらない・とありありと滲ませて溜め息をついた。
「わしゃ生涯現役じゃ!!」
テスタメントに憤慨するクリフは、もう食わん・と箸を置くと、朝食を半分以上残して立ち上がった。
「その生涯はもう終わっている・・・」
「死んでも現役じゃ!」
「いつ隠居するのだ老いぼれ」
「わしより年上のおぬしに老いぼれなどといわれたくはない」
「寿命が違うものと生きた時間を比べても意味のないこと」
「口ばかり達者じゃのう」
「あわわわ!待って待ってジャスティス!顔の前に赤い光とか出さないでよ!」
「大丈夫だ、指向性を高めたからクリフにしか当たらない」
「そういう問題じゃないんだけど」
うーん・と頭を抱えたヴィーは、
「でもでも、俺の本気ってジャスティスに許可貰わなきゃ出しちゃいけないもんだし!そういう意味でも熱くなりすぎて忘れるな・っていう意味でテスタいったのかな?とか思ってたんだけど」
ね・というヴィーに、テスタメントは一瞬目を見開いて、その後項垂れてしまった。
「ヴィーに・・・気を使われるとは・・・」
「凄い失礼だな、お前。聖戦中だって気使いまくってただろうが」
「確かにこんな幼子に気を揉ませるとは・・・大人気なかったのぅ」
「幼子っていうな、年上だって知ってるよね?判ってるよね?」
すまん・とヴィーには頭を下げる二人だが、未だに互いを見ることはしない。 ぶぅ・と拗ねた様に唇を尖らせたヴィーは、自分の食事を平らげると、もう知らん・といい捨てて部屋を出て行ってしまった。
「さっさと食事を終えて部屋から出て行け」
新聞を読み終えたジャスティスは、そういって折り畳んだ新聞をクリフに突き出し、部屋の一画で読み途中の本を広げた。
テスタメントはそれは飲み込みにくそうに食事をし、一度席を立ったクリフは、どっかりと腰を下ろすと、掻き込むように食事を終えて新聞を持って部屋を出て行った。
「私の配慮が足りなかったとしても・・・・悪かったでしょうか?」
「しらん・・・だが、相手がいなくては出来ないこともある」
そうですね・とテスタメントは小さく言葉を返すと、食事を終えて後片付けを始めた。
やりたかったのは茶碗に箸を刺して、クリフに出す。 ヴィーにやっても意味がない、ジャスティスは食べないということに(空き樽では)なっているので出来ない。 というわけで親子喧嘩。 塩分の取りすぎといい、親の身を案じています孝行息子。
死んでいるので、作法的には出し方間違っていないと思うんだけど、どうかな?
ジャスティスは新聞に目を走らせることは止めぬまま、時折空気の根源に目を向けた。 台所に立つテスタメントとすでに席に着いているクリフである。 いつもと変わらぬ手際で朝食の準備をしているが、その背中からは何かが滲む。 クリフはクリフで、腕を組んで目を瞑り、押し黙っている。
「まだ読み終わらんのか?」
「・・・珍しいな」
「そうかの?」
ジャスティスが読み終わってから朝食を終えた後、自室に持ち帰って読むのが普段のクリフの行動である。 この空気と沈黙に耐えかねてでた言葉だろうが、ジャスティスは冷めた声で切り返すと、むぅ・と小さく唸ってまた黙ってしまった。
ちなみにヴィーは朝食の食器を用意したり、出来た料理を運んだりとテスタメントを手伝っているが、それもいつも通りではある。
「お待たせしました」
そういってテスタメントが味噌汁を運んでくると、どうぞ・と丁寧にクリフの前におくのは、いつも通り。 熱いから気をつけろ・とヴィーに声をかけるのも変わらないが、
「父上、どうぞ」
どん!とクリフの前におかれた茶碗には、盛られた飯にこれまたどん!と箸が突き立てられていた。 それを見たジャスティスは微かに咳き込み、手にしていた新聞がクシャリを音を立てる。 クリフの眉間に深い皺が刻まれ、こめかみ辺りが引くついているのが見える。
「何それー?じいちゃんだけなの?俺も刺すー」
意味を知らぬヴィーははしゃいで自分の箸を自分の茶碗に突き刺し、わーいと喜ぶ。 クリフは箸を抜くと、何もなかったように黙々と食事を始めた。
「・・・・何かあったのか?」
関わりたくはなかったのだが、テスタメントのらしからぬ行動に、ジャスティスは嫌々訊ねた。 最初は何でもありません・といったテスタメントだったが、見かねたヴィーが口を開こうとすると、テスタメントはそれを制し、
「今朝此処に来た時、父上とヴィーが・・・」
「わしは悪くない」
「私とて悪くなどありません、あれは父上の身を案じての一言!それをそのような態度で・・・お分かりにならないほど頭が固いのですか?」
「固ッ・・・!」
「黙れクリフ・・・テスタメントは話を続けろ」
「手合わせをしていたのを見かけまして・・・・時折そういうことをしていたのは知っていますが」
「テスタメントがね、俺にあんまり本気を出すな・っていったの」
「父上は老体です、案じればの言葉です!」
クリフに無茶をするな・ではなく、あえて相手のヴィーへそういったことがクリフの癇に障ったらしいが、それは判らなくもない。 さりとて、どうでも良いジャスティスはくだらない・とありありと滲ませて溜め息をついた。
「わしゃ生涯現役じゃ!!」
テスタメントに憤慨するクリフは、もう食わん・と箸を置くと、朝食を半分以上残して立ち上がった。
「その生涯はもう終わっている・・・」
「死んでも現役じゃ!」
「いつ隠居するのだ老いぼれ」
「わしより年上のおぬしに老いぼれなどといわれたくはない」
「寿命が違うものと生きた時間を比べても意味のないこと」
「口ばかり達者じゃのう」
「あわわわ!待って待ってジャスティス!顔の前に赤い光とか出さないでよ!」
「大丈夫だ、指向性を高めたからクリフにしか当たらない」
「そういう問題じゃないんだけど」
うーん・と頭を抱えたヴィーは、
「でもでも、俺の本気ってジャスティスに許可貰わなきゃ出しちゃいけないもんだし!そういう意味でも熱くなりすぎて忘れるな・っていう意味でテスタいったのかな?とか思ってたんだけど」
ね・というヴィーに、テスタメントは一瞬目を見開いて、その後項垂れてしまった。
「ヴィーに・・・気を使われるとは・・・」
「凄い失礼だな、お前。聖戦中だって気使いまくってただろうが」
「確かにこんな幼子に気を揉ませるとは・・・大人気なかったのぅ」
「幼子っていうな、年上だって知ってるよね?判ってるよね?」
すまん・とヴィーには頭を下げる二人だが、未だに互いを見ることはしない。 ぶぅ・と拗ねた様に唇を尖らせたヴィーは、自分の食事を平らげると、もう知らん・といい捨てて部屋を出て行ってしまった。
「さっさと食事を終えて部屋から出て行け」
新聞を読み終えたジャスティスは、そういって折り畳んだ新聞をクリフに突き出し、部屋の一画で読み途中の本を広げた。
テスタメントはそれは飲み込みにくそうに食事をし、一度席を立ったクリフは、どっかりと腰を下ろすと、掻き込むように食事を終えて新聞を持って部屋を出て行った。
「私の配慮が足りなかったとしても・・・・悪かったでしょうか?」
「しらん・・・だが、相手がいなくては出来ないこともある」
そうですね・とテスタメントは小さく言葉を返すと、食事を終えて後片付けを始めた。
やりたかったのは茶碗に箸を刺して、クリフに出す。 ヴィーにやっても意味がない、ジャスティスは食べないということに(空き樽では)なっているので出来ない。 というわけで親子喧嘩。 塩分の取りすぎといい、親の身を案じています孝行息子。
死んでいるので、作法的には出し方間違っていないと思うんだけど、どうかな?
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